街のお店でも安心できない?ポイントカード・会員登録情報がデータブローカーに利用される仕組みと対策
オンラインだけの問題ではない?ポイントカードや会員登録にも潜む個人情報リスク
インターネットを利用する際、個人情報の取り扱いについて気を使う機会は増えているかもしれません。しかし、私たちが日頃利用している街のお店、例えばスーパーのポイントカードや飲食店の会員登録などでも、知らず知らずのうちに大切な個人情報を提供していることをご存知でしょうか。
これらの情報は、オンライン上の情報と同じように、様々な目的で利用される可能性があります。中には、データブローカーと呼ばれる事業者によって集められ、あなたの知らないところで利用されているケースも存在します。データブローカーは、私たちの様々な行動データをつなぎ合わせ、詳細な個人プロフィールを作成する専門家です。
本日は、普段の生活で利用するポイントカードや会員登録で提供した個人情報が、どのようにデータブローカーに渡り、どのようなリスクがあるのか、そして私たち自身でできる対策について解説します。
データブローカーと、街のお店からの情報
データブローカーは、インターネット上の行動履歴、SNSでの発言、公的な記録など、様々なソースから個人情報を収集していますが、それらはオンラインの情報だけに限られません。私たちがオフラインで提供する情報も、データブローカーにとっては価値のあるデータ源となり得ます。
ポイントカードやお店の会員登録時に提供する情報には、氏名、住所、電話番号、年齢、性別などの基本的な情報が含まれます。加えて、ポイントカードの利用履歴からは、いつ、どこの店舗で、どのような商品を購入したか、購入金額はいくらかといった詳細な購買データが把握されます。
これらの情報は、お店や企業のマーケティング活動のために利用されるのが主な目的です。しかし、企業のプライバシーポリシーによっては、提携企業や第三者との情報共有が認められている場合があり、その中にデータブローカーが含まれている可能性もゼロではありません。また、企業が保有する大量の顧客データそのものが、形を変えてデータブローカーの手に渡ることも考えられます。
このようにして集められたオフラインの情報は、オンラインで収集された情報と結びつけられることで、あなたの趣味嗜好、ライフスタイル、経済状況などがより鮮明なデータプロフィールとして構築されていくのです。
あなたのデータがデータブローカーに利用されるリスク
データブローカーが収集した情報は、主に広告配信事業者や他の企業に販売されます。これにより、私たちはより精密にターゲティングされた広告を目にするようになります。これは一見便利に感じられるかもしれませんが、一方で、常に監視されているような不快感や、プライバシーが侵害されている感覚につながることもあります。
さらに深刻なのは、データに基づいた差別や不利益を被る可能性です。例えば、購買履歴から特定の病気にかかりやすいと推測されたり、収入が低いと判断されたりすることで、保険料が高くなったり、特定のサービスへのアクセスが制限されたりするシナリオも理論上は考えられます。
また、大量の個人情報が一箇所に集められているデータブローカーは、サイバー攻撃の標的となりやすい存在です。もしデータブローカーから情報が漏洩した場合、あなたの氏名、住所、電話番号、さらには購買履歴といった機微な情報までが第三者の手に渡ってしまうリスクがあります。
今日からできる、ポイントカード・会員登録における個人情報対策
では、こうしたリスクに対して、私たちはどのような対策を取ることができるのでしょうか。完全にリスクをゼロにすることは難しいかもしれませんが、意識することでリスクを減らすことは十分に可能です。
- 本当にそのポイントカードや会員登録が必要か考える
- 特典や割引を受けるために多くのポイントカードを作りがちですが、利用頻度が低いものや、提供する情報量とメリットが見合わないと感じるものは、思い切って作らないという選択も重要です。
- 登録する情報を最小限にする
- 会員登録の際に、氏名、住所、電話番号など、必要最低限の情報のみを提供するように心がけましょう。必須項目以外の任意項目の入力は避けることで、企業に渡る情報量を減らすことができます。
- プライバシーポリシーを確認する
- 会員登録やポイントカード作成時には、必ず企業のプライバシーポリシー(個人情報保護方針)を確認しましょう。個人情報がどのような目的で利用され、どのような第三者に提供される可能性があるのかが記載されています。内容が理解しにくい場合や、提供範囲が広すぎる場合は、登録を再検討するのも一つの方法です。
- 利用規約を見直す
- プライバシーポリシーと同様に、利用規約にも個人情報の取り扱いに関する重要な情報が含まれていることがあります。データ利用に関する項目に目を通しておきましょう。
- 不要な会員情報の削除を検討する
- もう利用していないお店のポイントカードや会員情報は、そのまま放置せず、可能であれば退会手続きを行いましょう。企業によっては、ウェブサイトや窓口で個人情報の削除や利用停止の依頼を受け付けている場合があります。
- アプリ連携や情報連携の設定を確認する
- お店の公式アプリを利用している場合、他のアプリやサービスとの情報連携設定がないか確認しましょう。不要な連携は解除することで、情報が拡散されるリスクを減らせます。
まとめ:オフラインの情報も大切に管理する意識を
オンラインでの個人情報管理は重要ですが、日々の生活の中で何気なく提供しているオフラインの情報にも注意を払うことが、データブローカーによるプロファイリングから身を守る上で非常に有効です。
全てのポイントカード利用や会員登録をやめる必要はありません。しかし、「どんな情報を提供しているか」「その情報がどう使われる可能性があるか」を意識し、提供する情報を選択したり、不要な情報は整理したりすることで、あなたの個人情報をより良く守ることができます。
不安を感じすぎず、まずは一つ、今日からできる対策を試してみてはいかがでしょうか。それが、あなたの大切な個人情報を守るための一歩となります。