SNSの写真、そのまま投稿していませんか?画像に潜む個人情報リスクと見直し方
あなたがSNSに投稿する写真、どんな情報が含まれているかご存知ですか
多くの方が日々の出来事をSNSに投稿する際、一緒に写真も共有されていることと思います。何気なく撮った写真や、友達と楽しく過ごした時のスナップなど、視覚的な情報は投稿に彩りを与えてくれます。しかし、この手軽な写真投稿の裏には、見過ごされがちな個人情報のリスクが潜んでいます。
データブローカーは、インターネット上の公開情報から個人情報を収集しています。もちろん、あなたがSNSに投稿した写真もその対象となる可能性があります。写真そのものだけでなく、写真に付随する情報や、写り込んだ背景などから、あなたのプライベートな情報が意図せず第三者に渡ってしまうことがあるのです。
この記事では、あなたが投稿する写真に潜む個人情報のリスクについて解説し、データブローカーから大切な情報を守るための具体的な対策をご紹介します。
写真に潜む個人情報とは
あなたが撮影した写真には、様々な情報が含まれている可能性があります。写っている被写体だけでなく、写真の外側に付随する情報や、背景に映り込んでいる情報も、データブローカーによって収集・分析される恐れがあります。
具体的には、以下のような情報が挙げられます。
- 位置情報: スマートフォンなどで撮影した場合、GPS機能により「どこで撮ったか」という位置情報(緯度・経度)が写真のデータ(EXIF情報)に記録されていることがあります。この情報が残ったまま投稿されると、あなたの行動範囲や自宅、勤務先などが推測される可能性があります。
- 日時情報: 写真が「いつ撮られたか」という撮影日時もEXIF情報に含まれています。これも他の情報と組み合わせることで、あなたの日常のパターンや行動を分析される手がかりとなり得ます。
- 写り込んだ情報: 写真の背景に、住所がわかる看板、表札、車のナンバープレート、郵便物、カレンダーの予定、パソコンの画面、特定の場所(店舗、学校、職場など)の特徴的な建物や景色などが写り込んでいることがあります。
- 一緒に写っている人: あなただけでなく、ご家族やご友人など、他の人が写真に写っている場合、その人のプライバシーに関わる情報を意図せず公開してしまうリスクもあります。
これらの断片的な情報も、データブローカーが既に持っている他の情報(他のSNS投稿、公開されている住所録、Webサイトの閲覧履歴など)と組み合わされることで、あなたの氏名、住所、年齢、家族構成、趣味嗜好、行動パターンなどが、より詳細にプロファイリングされてしまう可能性があるのです。
データブローカーは写真からどう情報を収集・利用するか
データブローカーは、インターネット上の公開情報を自動的に収集するツール(クローラーやスクレイパーと呼ばれます)を利用しています。あなたが全体公開設定でSNSに写真を投稿した場合、これらのツールによって写真データや、写真に関連付けられたテキスト情報(キャプションや位置情報タグなど)が収集される可能性があります。
収集された写真に付随する情報(EXIF情報など)や、写り込んだ背景から読み取れる情報は、他の情報源から得られたデータと統合されます。例えば、写真の位置情報と他のWebサイトでの閲覧履歴を組み合わせることで、「この人はこの地域によく行く特定の趣味を持っている」といった形で、より精度の高いプロファイリングが行われます。
このようにして作られたあなたの詳細なプロフィールは、広告配信企業に販売されたり、マーケティング分析に利用されたりする可能性があります。さらに悪質なケースでは、詐欺やストーカー行為などのサイバー犯罪に悪用されるリスクもゼロではありません。
写真投稿で見直したい具体的な対策
大切な個人情報をデータブローカーや悪意のある第三者から守るために、SNSに写真を投稿する前に少し立ち止まって確認する習慣をつけることが重要です。以下の具体的な対策を実践してみましょう。
1. 投稿前に写真の内容を必ず確認する
写真を見返して、個人情報につながるものが写り込んでいないか慎重にチェックしてください。
- 住所や氏名が特定できるもの(表札、郵便物、書類など)
- 車のナンバープレート
- クレジットカードや運転免許証などの個人情報書類
- パソコンやスマートフォンの画面に表示されている情報
- 制服や社員証など、所属がわかるもの
- 行動パターンが推測されるもの(同じ場所で繰り返し撮影している写真など)
もし写り込みを見つけたら、その部分を塗りつぶしたり、トリミングして削除したりする加工を行いましょう。
2. 位置情報(EXIF情報)を削除する
スマートフォンのカメラ設定で位置情報の記録をオフに設定することができます。また、投稿前に写真から位置情報を含むEXIF情報を削除できるアプリやツールも存在します。
多くのSNSや画像編集ソフトには、アップロード時にEXIF情報を自動的に削除する機能が備わっている場合もありますが、念のためご自身で確認・設定することをお勧めします。
3. 投稿する写真の範囲を限定する
もし可能であれば、SNSの投稿範囲を「全体公開」ではなく、「友達まで」や「特定のリスト」に限定することを検討してください。公開範囲を狭めることで、データブローカーのクローラーが情報にアクセスする機会を減らすことができます。ただし、友達リストの中に悪意のある人物がいないとは限らないため、完全に安全というわけではありません。
4. 他の人が写っている写真に配慮する
ご家族やご友人が写っている写真を投稿する際は、必ずその人の許可を得るようにしましょう。特に、お子様の顔写真などは慎重な判断が必要です。本人の同意なく個人情報を含む写真を公開することは、プライバシー侵害にあたる可能性があります。
5. SNS以外の画像共有サービスやクラウドストレージの設定を確認する
SNSだけでなく、写真共有を目的とした他のサービスや、写真をバックアップしているクラウドストレージのプライバシー設定も確認しましょう。デフォルト設定では写真が公開状態になっている場合もあります。
まとめ
SNSに投稿する写真には、あなたが意識しないところで様々な個人情報が含まれている可能性があります。これらの情報はデータブローカーによって収集され、プロファイリングや悪用につながるリスクがあります。
しかし、必要以上に恐れることはありません。投稿前に写真の内容をチェックしたり、位置情報などの不要な情報を削除したり、公開範囲を見直したりといった、少しの意識と簡単な対策で、リスクを大きく減らすことができます。
あなたのプライベートな情報が、意図せず広まってしまうことを防ぐために、今日からできることから実践してみてください。日頃の心がけが、大切な個人情報を守ることにつながります。